現在進行中の再審事件(更新 2013/2)

【名張ブドウ酒事件】
 1961年3月28日の夜、三重県名張市で起きた毒物混入事件で5人が死亡した事件である。奥西勝さんが「ニッカリンT」を保存していた事と自白で逮捕・起訴されたが一審で「無罪判決」、控訴審の逆転「死刑判決」の上告を棄却され死刑が確定し現在「再審請求中」である。この事件は名古屋高裁が05年4月に「毒物がニツカリンTではない可能性」を指摘し「再審開始」を決定した。
 しかし、06年12月に検察の抗告を同じ名古屋高裁が認め再審請求を却下した。弁護側の特別抗告に対し最高裁が「差し戻し」したが名古屋高裁は12年5月、再び再審請求を却下し弁護団は特別抗告している。検察の主張は奥西さんが毒物を混入したではなく、「他に混入できる人が居ない」という杜撰な理由である。奥西さん(86歳)は今「八王子医療刑務所」に収監中である。混入された酒瓶の栓の歯形や、混入された「ニッカリンT」の成分などが争点になっている。

 無罪から逆転死刑判決の唯一の事件である。

 

【福井女子中学生殺人事件】  
 86年3月、福井市内の市営住宅で女子中学生が自宅台所にあった2本の包丁で全身約50箇所近くを刺されたうえに、灰皿で頭を殴られた後コードで首を絞められて殺害された事件。物的証拠が無く目撃証言や服役中の暴力団員の証言などで逮捕起訴されたが一審で「無罪判決」、控訴審で「証言は信用できる」と懲役7年「逆転有罪」で上告棄却され有罪が確定した。2011年11月に名古屋高裁・金沢支部が「再審開始」を決定したが、2013年3月6日名古屋高裁は再審開始を取消原告は特別抗告する。

 

【袴田事件】
  1966年6月30日未明に清水市の味噌製造会社の専務宅から出火し一家4人が焼死した事件。現場近くの寮に住み当時消化にも協力していた従業員の袴田巌さんの中指のけがと、アリバイのないこと等を理由に逮捕され20日目に自白し起訴された。
 当初、犯行時の服装をわずかな血痕の付着がある「パジャマ」としていたが、1年2ヶ月後の一審公判中に、検察は急遽「味噌樽から5点の着衣を発見」と犯行着衣を変更した。しかし、その着衣は袴田さんには小さくてはけず、その血痕のDNA鑑定も否定されている。この裁判では一審の左陪席判事だった熊本道典元裁判官が当時無罪を主張したが、多数決で「死刑判決文」を書かされ退官し現在再審を支援している。
 

【大崎事件】
79年10月鹿児島県大崎町の牛小屋堆肥置き場で家主のKさんの遺体発見され事件。被害者の長兄とその妻(その後、離婚)原口アヤ子さん、次兄とその子(甥)の4人が逮捕起訴され有罪が確定した。長兄は93年に病死、次兄とその子(甥)は『ウソの自白をしたと』とは87年と01年にそれぞれ自殺している。
 アヤ子さんは有罪判決後「即時抗告」したが棄却され、10年の服役出所後の95年に再審請求し、7年の慎重審理の結果02年3月「再審開始」が決定した。しかし、検察の即時抗告を福岡高裁宮崎支部は1回の事実調べもせず棄却し最高裁も追認した。アヤ子さんは2010年に2度目の再審請求をした。
 33年間無実を訴えてきたアヤ子さんと弁護団は未開示証拠の開示を求め、地検もその存在を認め「地裁の要請があれば開示に応じる」と応えているにもかかわらず、鹿児島地裁の大牟田博章裁判長は開示勧告もせず再審請求を棄却した(2013.3.6)。 この再審法廷の大牟田裁判長は服役出所後に真犯人が判明した『富山氷見事件』の柳原浩さんに「懲役3年の有罪」の冤罪判決した裁判官である。しかし、彼は責任も取らず処分もされず鹿児島地裁の裁判長に収まり、何の教訓も反省もなくまた同じ過ちを犯した。弁護団は「即時抗告」する。

 

 【三鷹事件】

  1949年7月5日、国鉄三鷹電車区の車庫から無人電車が暴走し駅構内の車止めに突っ込み死者6人、負傷者20人を出した事件である。その5日前に下山国鉄総裁が轢死(迷宮入)した「下山事件」が、また2日後には機関車が脱線した「松川事件」(上告審で「アリバイ」が確認され全員無罪)」が発生している。当時、労働運動や民主化の行き過ぎを警戒し政府、GHQは共産党や労組を弾圧し、国鉄にも約10万人の合理化がかかり、これらの事件はその労組・共産党の抵抗の様に報道された。
 検察は労組の共産党員9人と非共産党員の竹内景助を「共同謀議」と起訴した。しかし、一審は検察の共同謀議の主張に「まったく実態のない空中楼閣」と除け、当初否認したが、その後の竹内の単独犯自白を認定し無期懲役を言い渡した。控訴審は僅か7ヶ月で無期を破棄し死刑判決、最高裁は口頭弁論も開かず8対7の1票(人)差で上告を訴棄却し死刑が確定した。その後、竹内は脳腫瘍を放置され再審開始直前に「くらしいよ!」と言い遺し獄死(享年45歳)した。2011年11月10日、遺族が東京高裁刑事4部に「再審請求」をした。

 

【飯塚事件】 
 1992年福岡県飯塚市内で2人の女児が殺害された事件。目撃証言と車内の血痕などから久間三千年さんが逮捕起訴され66日間の勾留を受けたが否認を通す。一審の死刑判決が06年に最高裁で確定2年後の08年10月、再審準備中に福岡拘置所で突然死刑が執行された。09年10月い久間夫人が再審請求し現在に至っている。
 弁護側は科警研のDNA鑑定は「改ざん」されている可能性を指摘し、また、車内の血痕などは車の押収時には確認されず、ルミノール反応もなかったにも関わらず、1年以上経過してから後部座席に血痕と尿痕と主張したが、少女のものとは確定されていなかった。弁護、検察双方のDNA鑑定が争点になっているが、弁護団は強引な見込み捜査と科学的でない証拠で死刑執行されたと主張している。

 

【恵庭OL殺人事件】
 2000年3月17日未明、北海道恵庭市の農道で女性の炭化した遺体が発見された殺人事件。被害者女性の同僚であった大越美奈子さんが「三角関係のもつれによる殺人」と逮捕起訴され否認を通すが懲役16年が確定し服役中である。
  大越さんが直前に灯油10リッターを購入していたことなどから犯人と断定し捜査を進めた。有罪の根拠はすべて「状況証拠」で今回初めての再審請求である。
 弁護側は豚による燃焼実験などをして灯油10リットルでは内蔵まで炭化することはなく、また、現場から車で22~25分のガソリンスタンドへ被告が立寄っているアリバイがある。弁護側は死後に焼却されている等の主張をしている。また、遺体が両足を平き「くの字」に曲げられ強姦の可能性もあったが、検視でその検査はしていない。

 

【東住吉事件】

 95年7月、自宅の車庫に放火し、風呂に入っていた長女を殺した保険金殺人とされ母とその同居男性の2人の無期懲役が確定していた。弁護団は3回もの燃焼実験をし今年3月大阪地裁が再審開始を決定したが、検察が即時抗告している。
 

 

 以下「工事中」です。

   

【仙台筋弛緩剤事件】http://homepage2.nifty.com/daisuke_support/

  

【狭山事件】http://www.sayama-jiken.com/sa/sa001.htm